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複式簿記による記帳が行われていない場合は、受け取った現金から、生活費をはじめ、新聞代や日常的に使用する事務用品その他の消耗品の購入にあてることが多く、手元現金が不足すれば、随時、農協等の口座から現金を引き出す。この場合、事務用品その他の消耗品などの領収書はあっても、生活費や近所親戚との交際に費やした金額はわからないことが多い。この状態では、生活に費やした金額と経営に費やした金額が区分できず、また、それらに費やした金額の原資が農産物などの売上により受け取った現金なのか、農協等の口座から引き出した現金なのかわからないので、複式簿記では記帳できない。
このように家計と事業会計を分離するのが、複式簿記のメリットの一つである。そこで、複式簿記で記帳を開始するには二つの方法があるので、状況に応じて使い分ける。
1.原則的方法
(1)現金・小切手による収受は全額を農協・銀行などの口座に入金すること。
(2)支払い原則として小切手または振り込みにすること。消耗品など日常的に小額な
支払いは、小口現金勘定を設けて、これを相手勘定科目として記帳すること。
(3)法人化前の生活費や諸税、国民健康保険、年金、生命保険など事業ではなく、個人に係るものについては、店主勘定(生活費)を相手勘定として記帳すること。
これらに関して、法人化以後は原則として給与から支弁するものであるが、往々に、法人の会計から支出する場合がある。この場合の処理は、仮払いとして、後日、報酬支払い時または期末決算時に相殺する。
2.応用的方法
(1)売上金など受け取った現金を農協等の口座に入金しないままに支払いに当てる
など経営者にありがちな場合の処理・・・
- 売上金など現金を受け取った場合は、領収書控えを残すことは絶対的に守ること。
- 領収書控えにもとづき「現金/売上」「店主/現金」と記帳して、受入れた現金は、店主が事業から借りているものとする。
- 手元現金を経費の支払いに当てた場合は、「経費/店主」と記帳して店主が事業に貸したもの、または先に事業から借りたものから相殺したものとする。
(2)経営者間の交際費、遠方への旅費交通費など法人の報酬や個人事業の生活費の中から支弁するには多額になるもの、あるいは旅費交通費、交際費との区分が不明確なものの仕訳・・・いくつか方法があるが、一つの方法では一旦、「仮払い(店主・経営者)」としておき、後日、領収書や計算書などが判明した時点で「旅費交通費/仮払い」「交際費/仮払い」と仕訳する。なおかつ仮払いに残額があれば、「店主勘定/仮払い」または「報酬/仮払い」と仕訳する。
領収書がなくても、実情は旅費交通費や交際費の場合は、税務署に相談する。
(3)経営者のスーツやコートなどは生活費として処理することも、必要経費として処理することも認められる。
家族の被服費その他の費用については、生活費として処理することも、また、事業運営に関係する限り必要経費としても認められる。
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